「塾に通ってるのに、成績が上がらない」
そう思っている人へ、先に答えを言います。あなたの頭が悪いからではありません。塾の使い方を、まだ知らないだけです。
塾に行くだけでは、成績は上がらない
少し厳しいことを言います。塾は「教えてくれる場所」であって、「成績を上げてくれる場所」ではありません。
部活を思い浮かべてください。バスケ部の顧問が、どれだけうまいシュートのお手本を見せてくれたとしても、それを見ているだけでシュートが入るようにはなりませんよね。自分でボールを持って、外して、また打つ。そうやってはじめて入るようになります。
塾はすばらしい道具です。でも、道具は使ってこそ意味があります。
成績が上がらない人にありがちな3つのパターン
パターン①:授業を聞いて「わかった気」になる
先生の解説を聞くと、自分もスラスラ解けそうな気がしてきます。でもそれは、先生が解けるだけ。あなたの手は、まだ一度も動いていません。
このワナについては、テストで点が取れない中学生がやりがちな3つのミスでもくわしく書きました。
パターン②:宿題を「終わらせること」が目標になっている
答えを写して、赤ペンで丸をつけて、はい終了。この宿題で増えたのは、あなたの実力ではなく、宿題をやった記録だけです。
パターン③:塾に任せきりにしてしまう
「塾に行ってるから大丈夫」と思った瞬間、勉強は止まります。塾にいる時間は、1週間のうちほんの数時間。残りの時間をどう使うかで差がつきます。
自分で解く。ここにしか成長はない
いちばん大事な話をします。
数学の力は、「教わった瞬間」ではなく「自分で解こうとして、詰まった瞬間」に伸びます。
自分で問題に向かうと、いろんなことが起こります。式は立てられたのに、その先が進まない。途中まで合っていたのに、計算のどこかで数が合わなくなる。そもそも、何を求めればいいのかわからない。
苦しいですよね。でも、ここが大事なところです。
その「詰まった場所」こそが、あなたが今まさに成長できる場所です。
授業を聞いているとき、あなたはまだ自分の弱点を知りません。先生の説明はきれいにつながっているので、つまずく場所がないからです。ところが自分で解くと、必ずどこかで止まります。止まった瞬間、はじめて「自分はここがわかっていなかったんだ」と気づけます。
そして、そこで解説を読む。すると、その解説はもう他人の話ではありません。さっき自分が転んだ場所の話になります。だから頭に入ります。忘れません。
つまり、順番が逆なんです。
「わかってから解く」のではありません。「解いて、失敗して、それからわかる」のです。
だから、間違えることを怖がらないでください。答えを見る前に、5分だけでいいので自分の力で考えてみてください。その5分であなたが書いた、間違った式。それがあなたの伸びしろそのものです。
「わかる」と「できる」はまったく別物
授業では解けるのに、テストでは解けない。この経験、ありませんか。
これは理解が足りないんじゃありません。自分の手で解いて、失敗した回数が足りないだけです。
自転車も、乗り方を100回説明されたところで乗れるようにはなりません。ふらついて、足をついて、それを何度かくり返して、ある日突然乗れるようになります。数学もこれとまったく同じです。
「わかる」が「できる」に変わるのは、あなたが自分でペンを持ち、間違えたときです。
同じ塾通いでも、結果を変える3つの工夫
ここからは、明日の塾から使える工夫を3つ紹介します。塾を変える必要はありません。変えるのは、あなたの塾の使い方だけです。
工夫①:授業中に「なぜ?」をひとつ見つける
授業を「聞く時間」だと思っていませんか。授業は本当は、自分の「なぜ?」を探す時間です。
たとえば先生が黒板に「両辺を3でわる」と書いたとします。そのとき、心の中でこう聞いてみてください。「なんで3でわるの?」「別の数でわったらダメなの?」
答えが自分で言えたなら、あなたはその式を本当に理解しています。言えなかったなら、そこがあなたの伸びしろです。
見つけた「なぜ?」は、そのまま先生に聞いてください。「先生、ここなんで3でわるんですか」と聞ける人は、必ず伸びます。恥ずかしがらなくて大丈夫です。先生は、質問してくれる生徒がいちばんうれしいですから。
1回の授業で、たったひとつでいいんです。ひとつ見つければ、その授業はあなたにとって「聞いていただけの授業」ではなくなります。
工夫②:その日のうちに、何も見ずに解き直す
塾から帰ったら、授業でやった問題を1問だけ選んでください。ノートも解説も閉じて、真っ白な紙に、ゼロから解きます。
たった1問で十分です。5分あれば終わります。
ここで手が止まったら、落ちこまないでください。むしろ大収穫です。塾では解けたのに、家では解けなかった。それは「あなたが自力で解けたのではなく、先生の力で解けていた」というサインだからです。
気づけた人は直せます。気づかない人は、テスト当日に同じ場所で止まります。今日気づいたあなたは、もう一歩先にいます。
なぜ「その日のうち」なのか。人の記憶は、寝るまでのあいだにするすると抜け落ちていくからです。授業の記憶がまだ温かいうちに、自分の手でなぞり直す。これだけで、定着はまるで変わります。
解き直しのくわしいやり方は、テストが返ってきたら、まずこれをやろう【解き直しが最強の勉強法である理由】にまとめてあります。
工夫③:わからないところを、次の授業までにひとつ持っていく
質問を持って行ける人は、必ず伸びます。
理由はシンプルです。質問ができるということは、自分がどこでつまずいているかを、自分でわかっているということだからです。これは想像以上にすごいことです。伸びない人の多くは、「なんとなく全部わからない」の状態で止まっています。それでは何から手をつければいいのか、誰にもわかりません。
だから、こんな聞き方をしてみてください。
「この問題がわかりません」ではなく、「この問題の、3行目からわかりません」。
「わからない」を、できるだけ小さく切っていくのがコツです。小さく切れたぶんだけ、あなたは自分の弱点を正確に知っていることになります。
うまく言えなくても大丈夫です。「ここまでは合ってると思うんですけど、ここから進めません」でも立派な質問です。ノートに赤ペンで印だけつけておいて、次の授業に持っていってください。
質問をひとつ持って塾に行く。それだけで、その日の授業はあなたのための授業に変わります。
まとめ
ここまで読んで「じゃあ塾に行かなくても、自分でやれば伸びるのでは?」と思った人。するどいです。実はそのとおりで、大事なのは自分で学べる環境を持っているかどうかです。その話は、家で勉強できる子は、何が違うのかにくわしく書きました。
塾は、あなたを変えてくれません。塾を使うあなたが、あなたを変えます。
同じ塾に通っていても、伸びる人と伸びない人がいるのはそのためです。その差は才能ではありません。自分で解いて、間違えて、そこから学ぼうとしたかどうかの差です。
あなたには、まだ伸びしろがあります。
たくさん成長して、素晴らしい学校生活をおくってください!


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